
【勃起不全の基礎知識】EDとは?意味・原因をわかりやすく解説
日本に2000万人いるというEDとは、どういう意味でしょうか?身体・精神・薬剤の3つの種類に分かれるEDは、症状に応じて更に軽度・中度・重度の3つに分かれています。6つの原因が考えられますが、早期発見のために周囲への相談が大事になります。
目次
- EDってどんな意味?
- EDとは「勃起不全」をあらわす医療用語
- EDの症状と段階
- EDの種類は大きくわけて3種類
- EDになってしまう?6つの原因
- 日本人の年代別ED人口
- 女性からの相談も多いED
- EDのセルフチェック
- EDの疑いがあれば早めにクリニックに相談しよう
EDってどんな意味?

EDとはどのような意味かご存知でしょうか?「男性が、性行為ができないことだ」という意味に思われているかもしれません。確かにそれで、おおむね合っていると言えます。しかし、EDはかなり広い意味で使われているため、ぴったりと当たっているわけでもありません。ではEDとは、正確にはどのような意味なのでしょうか。
EDとは「勃起不全」をあらわす医療用語
日本語では3通りの言い方
EDは、日本語では次の3通りの意味で呼ばれています。
- 勃起不全
- 勃起障害
- インポテンツ
言葉の意味として、「不全」とは「不完全・不良」の意味で、「障害」は「正常な進行や活動の妨げになるもの」を指します。つまり、EDとは「男性器が十分に勃起しない」ということです。性行為を行なうのに支障をきたさないだけの硬さが得られなかったり、勃起しないことがあるので「性行為に支障がある、あるいはできない」といった意味合いで使われています。元々はインポテンツで呼ばれていましたが、これは性的不能(性行為ができない)のことを意味します。EDは症状に応じて段階分けされているのに対して、インポテンツは言い切った状態を表しているため、より深刻な状況を指しています。「重度のED=インポテンツ」ですが、インポテンツには侮蔑的な意味も含まれているため、現在は全てEDで表現することが一般的になっていると言えます。

英語で「Erectile Dysfunction」
「Erectile」は「勃起性の」という意味で、「Dysfunction」は「機能不全」です。なので、「Erectile Dysfunction」を訳すと「勃起不全」ということになります。ちなみに「Erection」は「勃起」。「function」は「機能」で、接頭語の「Dys」は「不良、悪化、異常」を意味するので「機能不全(あるいは機能不良など)」と訳すことになります。「Erectile」と「Dysfunction」の頭文字を取って「ED(勃起不全)」と呼んでいます。
EDの症状と段階
EDの主な症状
- 性欲はあって興奮するのに勃たない
- 経っても全然硬くならない
- たまに勃たないときがある
- すぐに勃起が収まってしまう
- 挿入してもすぐしぼむ

EDの段階・判断基準
EDの段階は軽度・中度・重度の三段階に分かれています。その判断基準は、性行為をできないことがどの程度の頻度で起きるのかということではかります。明確に回数が規定されていたりするわけではないので、判断基準は基本的に自己判断であると言えます。まず、たまにセックスできないときがあるのが軽度。オナニーはできるがセックスはできないという場合も軽度に該当します。軽度のEDは精神的な問題であるケースが多く、緊張さえほぐれればたいてい問題ありません。また、ED治療薬を使うことで改善できる見込みがあります。ときどきセックスができなければ中度の症状、全くセックスできない場合は重度の症状に該当します。ここまでくると、身体のどこかに何かしらの問題を抱えている可能性が高く、本格的な治療が必要になってきます。残念ながら、ED治療薬の服用で全てのED治療が可能というわけではありません。また、
EDの種類は大きくわけて3種類
EDの種類を考える前に、勃起の仕組みについて少し考えてみましょう。勃起が起こるには、まず性的な刺激を必要とします。その刺激は信号となって脳から神経を通じて陰茎に送られます。このときNO(一酸化窒素)が放出され、陰茎の海綿体内部にある動脈がcGMPによって拡張し血液が流れ込みます。流れ込んだ血液は、cGMPによってせき止められたダムのように陰茎内部に留まるので硬く勃起した状態を維持します。ダムの役目をしているcGMPが壊されると、陰茎内部の血液が放流されるので、元の大きさに戻ります。これが勃起の一連の流れです。EDは




勃ちっぱなしっていうのも、それはそれで危ないのね…。
器質性ED
器質性EDとは物理的な理由によるEDのことで、原因は主に血管障害・神経障害・内分泌機能の低下の3つに分かれます。一つ目に血管障害とは、まず動脈硬化が挙げられます。柔軟性を失った血管では血液が流れ込んでもなかなか拡張しないため、力強い勃起が起こりにくくなってしまいます。また、血液がドロドロの状態だと、陰茎の海綿体内部に血液が流れ込みにくくなり、この場合もうまく勃起しないことに。二つ目に神経障害とは、性的興奮がうまく伝わらないというケースです。性的な刺激を受けると、その信号が神経を伝わって一酸化窒素が放出されます。それがcGMPという物質を陰茎に集め、勃起するのです。神経に問題があると一酸化窒素の放出がうまくいかないため、思ったようにcGMPが集まらず勃起が起こらないと考えられます。また、陰茎周辺の怪我などにより、性器を破損したり、神経を損傷してしまうケースでも同様のことが考えられます。三つ目の内分泌機能の低下とは、男性ホルモンの分泌量の低下です。代表的なテストステロンは、性機能を維持するための役割があります。このテストステロンの分泌量が減ってしまうと、男性更年期障害などを引き起こす要因になります。
心因性ED
心理面や、精神面における負担が原因でEDになることもあります。例えば性行為などにおいて「絶対に勃起させなければならない」といったプレッシャーや性行為がうまくいかなかったことがトラウマとなり、心因性EDを引き起こします。また、仕事や人間関係でのストレスにより引き起こされるケースもあるため、必ずしも性行為に原因があるものとはかぎりません。これら現実での出来事が原因である現実心因の他にも、幼いころのトラウマなどが原因である深層心因というケースもあります。
薬剤性ED
病気の治療のために、薬を服用したことが原因となってしまうEDです。降圧剤や高脂血症治療薬など、血管に作用を持つ薬の副作用でEDを引き起こす場合があります。勃起と血管は綿密な関係があるからです。ほかにも、抗うつ剤や精神安定剤などにはセロトニンの分泌を促すものがあります。これがドーパミンやノルアドレナリンの働きを抑制してしまうため、性的な興奮も抑えられてしまうことになるのです。薬をやめたり、あるいは服用する薬を変更することで解決できる可能性があるため、薬剤性EDは器質性・心因性EDに比べると比較的改善しやすいと言えます。
EDになってしまう?6つの原因
①加齢
加齢による一番の悩みは、内分泌機能の低下による男性ホルモン(テストステロンなど)の分泌量の低下ではないでしょうか。テストステロンは男性機能を高めるためのホルモンです。20代をピークに分泌量が減っていくため、加齢とともに性機能はどうしても弱まってしまいます。テストステロンの役割は、一酸化窒素を供給すること。勃起するには、一酸化窒素によって集められたcGMPの働きにより、陰茎内部の血管が拡張する必要があります。一酸化窒素の供給量が少なければ、陰茎の血管が十分に拡張しないのでなかなか勃起しないという事態になるのです。テストステロンの減少を少しでも食い止めるには、質のいい睡眠を心がけること、適度な運動が必要です。
②ストレス
ストレスを受けると、そのことばかりが気になってしまい頭からなかなか離れないことがあります。性的な刺激を受けても、ストレスのほうばかりが気になってあまり興奮しなくなってしまうのです。ストレスの原因となるものは性的なことだけに限らず、仕事や人間関係など日常での出来事も含まれるため、疲れもたまりやすくなります。中には、疲れが溜まっているほうが勃起するという方もいるでしょう。しかし、それは「疲れマラ」と言って自分の意思とは無関係に身体が強制的に勃起をさせているのです。身体が危機を感じて生存本能を働かせているだけなので、こんな状態で性行為に及んだところで望む結果は得られないかもしれません。ストレスによるものは幅広い原因が考えられるので「これが原因だ」と決めつけず、様々な可能性を考えてみましょう。
③喫煙
喫煙には血管を収縮させる効果があり、ED患者の実に80%が喫煙者であるというデータもあります。血管の中でも陰茎内部の血管は特に細いため、血管障害の影響が真っ先に出やすい部位なのです。血管を収縮させるだけでなく動脈硬化を進行させてしまうので、喫煙はEDの大きな要因になりかねません。タバコをやめて1ヶ月程度で改善がみられたというケースや、その反対に禁煙しても喫煙していた者たちとの差は特になかったとする報告もああります。タバコを辞めることでEDの改善が見られるかは未知数ですが、喫煙を続けている限りは治療が難しいかもしれません。いきなりやめるのはストレスになることもあるので、できる範囲で喫煙の量を減らすところから始めてみては?
④運動不足
運動不足は、単にEDの問題には収まらず様々な生活習慣病を引き起こす元になります。生活習慣病の中でもEDとの関わりの深い病気が糖尿病です。
⑤薬剤の副作用
EDではなく別の病気の治療のために、仕方なく引き起こしてしまうかもしれないのが薬の副作用によるものです。勃起は主に身体の血管・神経・内分泌機能などが関わります。逆に言えば、これらに影響を与えたり副作用のある薬はEDを引き起こす可能性があるということです。医師と相談して、服用する薬を代えたり服用そのものをやめることで、改善の見込みがあります。治療したい病気が深刻である場合は少々厄介ですが、6つの原因の中では割と改善しやすい問題ではないでしょうか。
⑥病気
病気の中にはEDを併発するものがあります。例えば、糖尿病は中度~重度の血管障害の病気であり、同じ血管障害であるEDがその前兆であるというケースです。EDになるということは、なんらかの病気のサインであるとも言えます。そのため、EDをあまり軽く考えず、病院で検査を受けることで病気の早期発見につながることが考えられます。この場合、EDの治療ではなく

日本人の年代別ED人口
30代では5%程度であるEDの人口も、40代では3倍の15%に跳ね上がります。そこから50代・60代になるにつれて、30%、50%と年を重ねるごとにほぼ倍々に増加するという傾向に。1998年に行われた調査では中度ED(たまに勃起、性交中に勃起の維持が可能)及び重度ED(勃起せず、性交が不可能)の成人日本人男性の数は1130万人にも上ります。一方で、2016年の時点での日本人のED人口の数は2000万人と言われています。2005年以降は人口が減り続けていることも考慮すると、EDになる人口の割合は昔に比べると年々増加しているものと思われます。
EDは20代でも危険!?
「まだまだ20代だから、EDを気にすることはないだろう」と思ってはいませんか。残念ながら、
EDとは当たり前に起こりうる病気
- 60代では2人に1人がEDの可能性
- 年代があがるごとにEDになる可能性はほぼ倍加していく
- ある日を境に、突然EDになってしまうことはある
- 20代であっても、EDの危険性はある
女性からの相談も多いED
「男としてのプライドが…」とEDを秘密にしてしまう男性も多いかもしれません。しかし、EDとは男性一人だけの問題ではなく、パートナーとの問題でもあるのです。
彼氏・夫のEDに悩む女性が多い
男性がEDであることをバレないようにしようとしていても、例えば中折れなどをきっかけにバレるときはバレてしまうものです。1回だけなら「気のせいかな?」で済ますこともできるでしょうが、何度も起こればさすがにパートナーだって気づいてしまいます。それでも男性が言い出さなければ、女性が「自分のせいでなのでは?」と思い込んでしまうことがあるのです。場合によっては女性がうつやノイローゼになってしまうことも。

EDは離婚の原因にもなる!
離婚が認められるのは、法律的には5つの理由があります。EDが離婚の理由になるのは「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」と認められた場合です。実際に裁判所でセックスレスが原因で、
パートナーとの話し合い・協力が大切
まず、EDを「男性の身体上の問題である」と捉えずに、「性生活の問題である」と捉えてみましょう。前者は男性一人だけの問題で、後者はパートナーともの問題ということになります。男性が「自分だけの問題だ」と考えてしまうと、パートナーを置き去りにしてしまうかもしれません。よりよい性生活を送るためにパートナーと共に考えるという姿勢が大事です。パートナーである女性も見守ってあげる必要があります。性行為がうまくいかなかったとしても、相手を責めるのはかえって逆効果。うまくいかせなければならないという義務感が、いっそう強いプレッシャーとなって悪循環になりかねません。問題に対していっしょに前向きに取り組んでいきましょう。
EDと妊娠
「EDになったら妊娠に問題はあるのか」と心配になる方もいらっしゃいますが、精子さえ問題なければ、たとえEDでもとりあえずは大丈夫です。例えば「ED治療薬の影響などで、奇形児が生まれるのでは?」という疑問もありますが、ED治療薬は血管に作用する薬であって精子に影響は与えません。またED治療薬の使用によって奇形児が生まれやすくなったというような報告もないのです。要するにEDは「精子を膣内まで無事に届けるのが難しい」ということであって、「精子そのもの」の問題ではないということ。EDで膣内での射精がどうしても困難であるとき、成功率、費用にはやや難があるものの体外受精という方法があります。1回で成功することもあれば、何回やってもうまくいかないことも。1回あたり5,000~20,000円ほどかかるため、費用も決して安いとは言えませんが、妊娠という観点から考えると一つの解決法と言えます。費用をなるべく抑えるなら、排卵日に合わせて性行為を行なうという方法も考えられます。
EDのセルフチェック
あなたのED度は?
下のリンクは「EDネットクリニック.com」のEDセルフチェックのページです。5つの質問に答えるだけで、どの程度のEDだと思われるのか簡単に判断することができます。1~2分もあれば答えられる内容なので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
EDの疑いがあれば早めにクリニックに相談しよう
相談は行きつけの病院など、どこへ行っても受けることは可能です。できればED治療を標榜している場所がいいでしょう。また、受付が女性だとせっかく決心してやってきてもなかなか言いづらいということがあります。専門クリニックではスタッフが全員男性というところあり、患者も似た悩みを持って集まってきているので、気恥ずかしく感じるということもありません。EDは他の病気のサインであるというケースもあるため、できるかぎり早期に発見したほうが後々の治療も楽になることが考えられます。糖尿病などの重大な生活習慣病からくることもあり得るので、とにかく早めにクリニックに相談することがベストです。